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狐神~キツネガミ~

第5章 ミコノチスジ


「続きは外でやりましょうか。客はいないとはいえ、この店を潰したくはありませんから」

要は優雨たちに外へ出るようにと促した。
素直に優雨たちは応じる。

「それにしても翠月さん、凄くいい身体してますねぇ…僕のものにしたいくらいだ…」

翠月はゾクッと殺意とは違う恐怖に襲われた。

「テメェ…ふざけたこと言ってんじゃねぇ!こいつの身体は俺のもn…」

「本気で殺すぞお前ら」

ゆらゆらと揺れる九本の尾を怒りに任せて優雨に向ける。

「冗談だって!!…うぉっ…!?」

一本の尾が優雨の目の前の地面に突き刺さる。

「強気なところも最高だ…」

「貴様も死ね」

地面に刺さった尾を抜き、九本の尾が 要に襲いかかる。
要は上手く避けながら、お遊びは終わりです、と言うように1枚の札を取り出した。

「まさか…」

そしてぶつぶつと何かを唱えると、巨大な蜘蛛が要の背後に現れ、翠月の尾をはじき飛ばした。

「きゃっ…」

「土蜘蛛か」

土蜘蛛とは九十九神(ツクモガミ)の一種で、妖怪の仲間。ちなみに優雨たち妖狐も妖怪の仲間に入る。

「「きゃー蜘蛛!蜘蛛!!」」

蒼風と紅風は、初めて見る土蜘蛛に慌てふためいた。
なにしろ大きさが大きさである。

「さーてと…」

要は蜘蛛を操るように指先を優雨たちの方へ向けて

「いけ」

と命令した。
すると土蜘蛛は広い範囲に蜘蛛の糸を吐きだした。
体に蜘蛛の糸が絡みつき、優雨と翠月は身動きがとれない。
蜘蛛の糸は更に絡みつき、そのまま2人を塀に叩きつけ固定した。

「いい眺めですね…嫌がる素振りが凄くいい…」

要は手足だけを固定された翠月にゆっくりと近づき、頬を撫でた。

「っ…触んな変態っ…!!」

「この野郎…」

取り残された蒼風と紅風は、恐怖のあまり逃げていってしまった。
いくらもがいてもびくともしない。
すると要は小刀を懐から取り出し、翠月の首に突きつけた。

「くっ…」

睨むように要を見る。
一秒がとても長く感じる。

「心配しないでください、すぐに殺してしまうようなことはしません。少し遊ぶだけですよ」

そういうと要は、持っていた小刀で翠月の服を切り裂いた。
ビリビリビリッと布を引き裂く音が聞こえると同時に、要の右腕に鋭い痛みが走る。

「!?」
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