第4章 ガキノコトバ
「重い、おりろ」
「わーい」
優雨は首をおさえながら蒼風を下ろした。蒼風は嬉しそうに優雨の周りをくるくると回る。
「紅風もおりる?」
「わたしは大丈夫、こっちの方が楽チンだしね♪」
蒼風は相変わらずはしゃいでいる。出会ったばかりだと言うのに、蒼風も紅風も二人に懐いてるようだ。
「おや?見かけない顔ですね、めずらしいなぁ」
不意に声をかけられた。そこには若いメガネの青年が立っていた。
「あなたは?」
「僕はここの町長の息子ですよ、良かったらどうです?僕の店でお話でも」
その青年はこっちです、と優雨たちを案内した。
「僕、珈琲屋を営んでいて。結構評判なんですよ?僕の店の珈琲」
「ところでお前、名前は?」
そんなことよりと言わんばかりに優雨は、青年に名前を尋ねる。
「あぁ失礼しました、自己紹介まだでしたね。僕は…そうですね、月夜の白猫とでも名乗っときましょうか。あ、呼び方はなんでもいいですよ」
「名乗らない気か」
名乗ろうとしない青年に不信感を抱きながらもついて行ってみることにした。
「ねぇ翠月…大丈夫なのこの人…」
「しっ…そんなこといわないの」
しかし翠月もまた、この青年に少し不信感を抱いていた。
━何者なんだこの男…━
(…やっと…晴らせる。長年のこの恨み…)
ゾクッ…
((今なんか物凄い殺気が…))
「どうしたんだ優雨?」
「いや、なんでもない…」
嫌な予感がしてたまらない。優雨と翠月はその嫌な予感をかき消すようにその青年について行く。
これからどうなるかも知らずに…