第4章 ガキノコトバ
「で?どーすんのよこいつ」
「知るかんなこと」
この日、二人は朝からついてくるそれに悩まされていた。
とてとてとて…
どこまでもついてくる。
とてとてとて…
どこまでもどこまでも…
「「どこまでついてくんだよ(のよ)…」」
ぽかーんと二人を見つめる者、それは白い二匹のこぎつねだった。
一匹は左目が青く、右目が紅い。
もう一匹はその逆、左目が紅く、右目が青かった。
「なによぉ…」
こぎつね達はずっと二人を見つめたままだ。
「…つれてけってか?」
「「コン♡」」
まるで宝石のようにきらきらとした瞳で見つめられて、優雨は思わずこぎつねの頭を撫でてしまう。
「ま、いいんじゃないの。あたし達もどうせ狐なんだし」
「まぁな」
見たところ雄と雌らしい。
優雨は雄を、翠月は雌を選びそれぞれ名前をつけることにした。
「お前ら目の色違うのな」
「変わった子達ね」
優雨が選んだこぎつねは右目が青い。
「んじゃーお前は…………蒼風(あおかぜ)。野生の狐は頭がいいからな、連れてくならそれなりに役に立ってもらうぞ蒼風」
優雨の狐は蒼風に決まった。
蒼風は、自分の名前とご主人様を認識したのか、嬉しそうに鳴いた。
「じゃあこの子は紅風(べにかぜ)にしようかな。見たところこの子達双子だしね」
すると二匹の狐はそれぞれご主人様である優雨と翠月の頭に飛び乗った。
「ねぇねぇ、お名前なんていうの?」
「教えてくんないと呼べないー」
突如どこからか声が聞こえた。その声の主が自らの頭の上にいる狐だと気づくのに二人は2秒ほどの時間を費やした。
「お前ら喋れんのかよ」
蒼風は優雨の頭をもふもふしながらにまーと笑って見せた。
「私は翠月、古神 翠月よ」
簡単に自己紹介をする。
「俺は優雨、古神 優雨」
「優雨と翠月か、これからよろしく!」
「よろしく!」
蒼風と紅風が仲間に加わった。