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花束を君へ

第2章 赤いゼラニウム



さっさと着替えと帰り支度を済ませて、玄関へ。木兎さんと赤葦にまた明日と声をかけ、玄関へ急いだ。外はもう暗い。

下駄箱のそば、いつも通り佇む姿。まゆが自主練をする時は、いつも一緒に帰る。最近はこれまで以上に部活に熱が入って来たのか、毎日、残って自主練をしている。

「あ、堅治来た」
「わり、遅くなった」
「ん、大丈夫。木兎さん達、いいの?置いてきて」
「あ?いつもそうだろ、帰る方向違ぇし」
「あ、うん、そだね。帰ろっか」

隣を歩くまゆ。並んでいても、昔のように手を繋ぐ事はなくなった。抱き合って寝る事も。双子とはいえ、互いの距離感を意識し始めてからはお互い意図的に距離を置いている。
ただ、まゆにとって一番近い場所にいるのは、まだ自分でありたいと、密かに思う。

「まゆ、頭、汗クセェ」
「ちょっ、堅治もでしょー」
まゆの頭を、腕でぐいと引き寄せて、意地悪を言えば、反論とともに脇腹を擽られる。
ずっと変わる事ない日々が続けばいいのにと思う時がある。そんな時は決まって自分に言い訳するんだ。心の中で。これは恋じゃない、家族愛だって。
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