第17章 相棒――迅悠一(中)
太刀川は夏海の肩を掴んで言った
夏海はその手を振り払いながら言った
『…………何で強制………。ま、でもなかなか面白いのが出てきてるみたいだしやろうかな』
そう言うと太刀川は一段と目を輝かせた
「こりゃあ面白くなってきた!なあ、風間さん!」
「面白くない。全然面白くない」
『ハハハ』
太刀川と風間と別れたあと二人で支部に戻ってきた
会話はなくただ足を進めるだけ
迅は時々夏海の様子を窺ったが夏海が迅の方を見ることはなく、その横顔に見とれていたのだった
『じゃ、先戻ってるね』
「あ、ああ……………」
夏海は階段を上っていき、迅は空閑たちが居るであろう部屋に向かった
「あ、迅さんおかえりー」
「お疲れさまです」
「ふぃーす」
「最近いなかったけどどうしてたの?」
「あっちこっち人気なんだよ。実力派エリートは」
迅はうまくかわすと新人に最近の様子を聞いた
空閑はもとから強くボーダーのトリガーにも慣れてきたらしい
三雲は烏丸が師匠のため大丈夫であろう
「鍛えろよ若者。あっという間に本番が来るぞ」
口の中に詰め込んだマカロンをむしゃむしゃと食べながら敬礼をすると部屋を出ていく
「おやすみー」
「おやすみなさーい」
「おつかれさまです」
迅は部屋のドアを開けた
が、ゆっくりと扉を閉めた
「…………」
もう一度ドアを開ける
「なんで夏海がいるの…………?」
『……………んー?悠一が無理してたから。
…………ってかぼんち揚ばっかだねー』
「……………。
………夏海だけには言われたくないな」
そう言うと夏海は迅を真っ直ぐにみてきた
迅は見つめ返すがすぐに目をそらした
「大丈夫だ…………。未来はもう……動き出してる………」
そう言うと夏海がため息をついた
『……………またそうやって自分の気持ちを抑え込む……』
「……………」
夏海は迅を射抜くような目で見た
迅は何も言わずに俯く
『…………ま!迷惑なら帰るよ』
夏海は迅から視線を外し、ドアへ歩いていきドアノブへと手を伸ばした
迅は咄嗟にその手を掴みベットのほうへ引っ張ってくると、ベットに腰掛けその膝の間に夏海を座らせると後ろから抱き締めた