第17章 相棒――迅悠一(中)
迅に向かって太刀川と風間の二人が攻撃を仕掛け、それに加えてスナイパーの攻撃が来るがそれも迅は容易くかわす
太刀川は夏海を狙った
太刀川はニヤリと笑い、夏海も不敵な笑みを返す
二人の激しい攻防が続くなか、夏海の後ろを風間が取った
素早くスコーピオンで斬りつけるが背中からスコーピオンを出しそれを防いだ夏海はニヤリと笑い、背中全体からスコーピオンを枝分かれさせて突き出した
風間はギリギリで避け間合いをとる
その間にも夏海は太刀川からは一瞬たりとも目を離さなかった
つまり、風間の方は一切向いていないのである
夏海は太刀川の弧月を弾き、少し間合いをとると自身の弧月を大きく振りかぶった
「《おい、夏海!》」
無線を通じて迅の声が夏海の動きを止める
「…………なんだ?」
急に止まった夏海に風間たちは戸惑う
「《まだ、暴れちゃダメだって!》」
『《うるさいな、いいところなのに》』
「《…………漫画》」
『《…………わかったよ》…………旋空弧月』
「!?」
夏海は振りかぶった弧月を軽くふった
だが、当然それは簡単にかわされる
それから夏海は迅の言うとおりおとなしくなった
太刀川たちはいきなりおとなしくなった夏海を訝しげに見た
「どうした迅。何で『風刃』を使わない?それに急に夏海がおとなしくなった。何を企んでる?」
「…………」
太刀川の問いには答えず代わりに迅は不適な笑みを浮かべた
「ずいぶんおとなしいな迅。昔のほうがまだプレッシャーあったぞ」
「まともに戦う気なんかないんじゃ………。この人たちは単なる時間稼ぎ。今ごろ玉狛の連中がネイバーを逃がしてるんじゃないですか?」
「いいや、迅は予知を使って守りに徹しながら、こちらのトリオンを確実に削っている。
こいつの狙いは俺たちをトリオン切れで撤退させることだ」
「あらら…………」
『さすが風間さん』
「…………なるほど。あくまで俺たちを帰らせる気か。「撃破」より「撤退」させたほうが本部との摩擦が小さくて済む」
「戦闘中に後始末の心配とは大した余裕だな」
「風間さん。やっぱりこの人は無視して玉狛に向かいましょう。俺たちの目標は玉狛の黒トリガーです。」