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ワールドトリガー【中・短編集】

第16章 特別扱い――村上鋼


見る映画は荒船オススメアクション映画だった

だが、当真は冬島さんに呼ばれ、荒船は東さんに呼ばれ、結局俺と夏海だけで見ることになった

二人の悪意を感じる行動に少しムカついたが、応援してくれていることは素直に嬉しいため見逃してやることにしよう

『あ、始まった!』

夏海は俺のとなりに腰掛け画面を見た
が、次の瞬間ゾンビがいきなり画面に出てきた

『…………ひっ…………!』

「?大丈夫か?夏海………?」

夏海は俺の腕に自分の腕を絡ませ、震えていた

『ム、ムリムリムリ!!!』

涙目で、いや、もう泣いている夏海の頭を撫でて映画を止めようとした

………………が、

「止められない………!」

何度も停止ボタンを押すが映画は止まることなく流され続ける

『……………ええっ!?』

俺は夏海の前に膝をつき夏海の顔を見上げた

「……………大丈夫か?」

ふるふると弱々しく頭を横に振る夏海をそっと抱き締めた

『…………鋼?』

「映画が終わるまでこうしていてやる。だから、安心しろ」

『…………ん』



やっと、長い映画が終わった

夏海は寝てしまっていた

映画はゾンビや、何かわからないものが出てくるだけで全く面白くなかった
恐らく、夏海を怖がらせるためだけにレンタルでもした映画なのだろう

ため息をつくと夏海が目を覚ました

『……………鋼…………』

「ん?」

『………その………ごめん…………迷惑かけて……………』

「迷惑じゃない。むしろよかったぞ?」

『………え?』

「あんなに怖がる夏海は滅多に見られないからな」

『…………ッバカ!!』

「………夏海。俺、前から夏海のことが好きだった。

だけど、今日怖がる夏海を見てもっと色んな夏海を知りたいと思った。

俺と、付き合ってくれないか?」

『…………こ、鋼が私のことを好き………?』

「ああ」

『…………っ嬉しいっ!こちらこそお願いします!』

「良かった」

俺は夏海を抱き締めた
夏海は俺の腕のなかで満面の笑みを浮かべた

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