第10章 お泊まり――米屋陽介
肩を揺すられ目を開けると、俺のスウェットを着ている夏海がいた
ぶかぶかでさっき見た裸がまたフラッシュバックして、直視出来なかった
「…………悪ィ………寝てた……」
『やっと起きた。風呂に入らないと風邪引いちゃうよ?』
「………ああ、俺の部屋で待っててくれ」
『わかった』
このときの俺は自分の部屋の状態を忘れていた
シャワーを浴びて自分の部屋に戻ると、夏海の後ろ姿があった
何かの本を読んでいるようだった
俺が入ったことにも気づかないくらい集中しているようだ
だが、俺は次の瞬間部屋を見渡して夏海が読んでいるものを取り上げた
「!!!お前、なんつーもん読んでんだよ!!」
部屋にあるエロ本を部屋のすみに追いやった
夏海が読んでいたのはエロ本だった
夏海の着替えを持っていこうと中断した片付けがそのままになっていたため、エロ本を隠すことを忘れ、眠りこけていたのだ
『………陽介は………そういう女の人がいいの?』
「……は?」
最初何を聞かれているかわからなかったが、エロ本のなかの女たちのことをいっているのだと気がついた
「……………いや、それはだな…………」
俺は答えに戸惑っていると、夏海は俺のベットに身を投げた
『……………だったら、ごめん……………。こんな小さい胸の身体を見せちゃって…………』
「…………はぁ!?」
突然意味不明なことを言われて、俺はつい大声で聞き返した
夏海の身体は、というか胸は小さいというより大きい方だと思う
エロ本と比べると劣るが、それは当たり前だ
あの女たちは仕事でそういう身体を目指している
だが、夏海は枕に顔を埋めてそのまま何も言わない
「いや、べつに好きとかじゃねーよ。ただ、その………思春期だからっていうか………。…………だから、お前の身体をどうこう言うつもりはねーよ………?」
だんだん自分で何をいっているのかわからなくなってきたが、最後まで言葉を紡いだ
夏海はチラッと枕から顔を覗かせた
俺はベットの横に座り、夏海の頭をわしゃわしゃと撫でた