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ワールドトリガー【中・短編集】

第67章 俺様――迅悠一


『援護するから早く片付けてよ』

そう言うと悠一は

「はいはい」

と返事してラービットのプレーン体に向かっていった

悠一がスコーピオンで傷をつけたところに私の矢が刺さって貫通する

それを何度かやっていると、あっという間にトリオン兵は動かなくなった

『ふぅ』

「で、夏海?俺に生意気な口聞いて何もされないとでも思った?」

『な、何よ……』

悠一に気づかれないように後ろ手に弓を構える

私の弓は矢を射るだけではない
矢を射ることで空を飛ぶこともできる

ただ、今はトリオンが少ない
少し時間がかかる

「全く、夏海は悪い子だね。俺には未来が視えるって言うのに……」

『未来が視えるから何なのよ……?』

あとちょっとだ
あとちょっとで……

「だから、逃げられないってことだよ」

パンッ

『!』

手を叩かれて集中が途切れる

「俺に生意気な口聞いたのと、逃げようとした罰………しっかり受けてもらうよ?」

『んぅっ!?』

外にも関わらず深く口付けられる

『ちょっ!やめてよ!まだトリオン兵が…………っ』

と悠一を押し返したその時だった

運が良いのか悪いのか――

「トリオン兵の反応がすべて消えた!皆、ご苦労だった!」

本部長からの通信にそう伝えられる

『………』

「な?だから、逃げられないって言ったんだよ」

その言葉を聞いて私はじりじりと後退りする

だが

バシュンッ

『!!』

トリオン体を維持できずに生身に戻ってしまう
こうなると、トリオン体の悠一からは逃げられない

しかし、悠一は換装を解いた

『どういうつもり……?』

「別に?生身でキスした方がいいでしょ?」

『キスしなかったらいいじゃない。そもそも、私たち付き合ってないじゃない』

「付き合ってたらいいってこと?なら、付き合えばいいじゃん」

『!ふざけ……んっ!』

キスされて抵抗するが、男の力には敵わない

悔しくて涙が出る

「泣くなよ」

『だって………ん』

涙を食べるように目元に口づけされる
いつもとは違い優しい仕草にまた涙が出てくる

『悠一は………私のこと嫌いなんでしょ?』

「嫌いじゃない。むしろ好きだよ」

『だって……私には優しくしないじゃない!』

「それは……」

言い淀む悠一の胸を強く叩く


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