第67章 俺様――迅悠一
『チッ……面倒ね』
私の周りにはラービットが10体、その他のトリオン兵が20体ほどいた
現在、アフトクラトルの侵攻を受けていた
といっても、アフトクラトルの人型は撤退し、後は残されたトリオン兵を始末するだけなのだが………
私も先程、人型との戦いに勝利したばかりだ
相手も黒トリガー
簡単に勝たせてくれるはずもなく私の体には傷があった
それに、トリオンも残り少ない
先程まで戦っていた相手は黒トリガーに加えて、トリオン兵の扱いも長けていた
だからこそ、この場にこれほどのトリオン兵がいる
………黒トリガーだからってトリオンが無限にあるわけではないというのに……
だが、放り投げるわけにはいかない
私がいなくなれば、こいつらは市街地を狙うだろう
『………取り敢えず、雑魚は雑魚らしくさっさと消えてくれる?』
両手に弓を構えて弓を引くことなく矢を放った
放たれた矢は分裂してモールモッドやバンダーなどの雑魚を一掃した
残ったのは新型のラービット
運の悪いことに色つきまでいる
『あぁ~!早く終わらせてだらだらしたい!』
などと叫びながら矢を放ちまくる
その時だった
ギリギリで私の矢をかわした色つきのラービットは飛行タイプのようだ
飛んでくるラービットの攻撃をかわし、他のラービットに向けて矢を放つ
黒トリガーは威力も段違いだ
分裂させると威力も落ちるが、普通なら貫通する
なのに、貫通しない
トリオンがもうないからだ
しかし、黒トリガーはベイルアウトが出来ない
『ほんと………めんどくさっ!』
その時だった
一瞬の隙をつき、飛行タイプのラービットが私の後ろをとった
『やべっ』
ラービットが至近距離に迫ったとき、そのラービットは真っ二つになっていた
『!?』
「助けてあげたんだから、後でお礼しろな?」
『迅っ』
「迅じゃなくて、悠一……だろ?
ほら、呼んでみなよ。じゃないと、お仕置きするよ?」
トリオン兵を相手にしながらそんなことを言う
ていうか、さっきまでこいつも人型の相手をしていたはずなのに
『ムカつく悠一』
「なんだ、普通に呼べちゃうんだ。面白くないね」
『悪かったわね、可愛いげがなくて』
「そんなこと誰も言ってないけど?」
ニヤリと笑う悠一を睨む
『……うるさいな』