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ワールドトリガー【中・短編集】

第65章  貴女のために―――迅悠一


ぐらりと傾く夏海のからだに手を伸ばしたとき、斬撃と弾丸がトリオン兵を一掃した


「朝霧!」
「夏海!?」

駆け寄ってきた太刀川さんと出水は血を流している夏海を見て目を剥いた

出水が慌てて本部に連絡をしていた




俺は目を閉じてしまった夏海をきつく抱き締めた



「なんで………!

……どうしていつも守れないっ…………!!」

「……迅……」

太刀川さんが俺の肩に手を置いた

「早く朝霧を運ぶぞ。まだ助かるんだろう?」

力なく頷く

でも、死ぬかもしれない……



俺はそう思いながらも夏海を運んだ






―――――――


あの日から一週間

まだ、夏海は目を覚まさない

親がいない夏海だったがボーダーの皆がたくさん見舞いに来ていた

勿論俺も

俺は何時間もずっと夏海が寝ているベットの横で椅子に座っていた


視える未来は2つ

もう目を覚まさない未来――

そして、

限りなく少ない確率で夏海は目を覚ます



けど、それまでにどうしたらいいのか全くわからない

こんなサイドエフェクト、持ってても意味はない



「どうして……

どうして夏海は俺を助けたんだ……」



夏海の顔を見て問うたが、返事は返ってこない……

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