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ワールドトリガー【中・短編集】

第64章 その先――風間蒼也


「………」

………はぁ

「……いっ……」

「…………」

弟子になんてしなければよかったのか……

「……いっ………かざ………」

「………………」


だが、弟子にしなかったらそもそも接点がなかった……

「おい!風間!!」

肩を揺さぶられて目の前に諏訪の顔が映る

「………!悪い、何だ?」

そう問いかけたが、はぁとため息をつかれた
太刀川と東さんも俺を見ている

「何だじゃねぇだろ……。どした?おかしいぞお前」

「……考え事をしていた」

「朝霧のことか?」

「はい。……!あっ、いえ、違います」

東さんの言葉に流れるように返事をしてしまい、慌てて訂正するが既に遅く、三人ともニヤニヤしていた

「風間さんも不器用なんだな!」

「黙れ太刀川」

少し食い気味に切り捨てる

「お前も悩むことがあるんだなぁ」

「当たり前だろう。諏訪」

ため息をつくと東さんが

「朝霧に告白はしないのか?」

と聞いてきた

「無理です。あいつは俺を師匠としか見ていないですから。
だから、その先には……踏み込めない」

それを聞いた諏訪は

(……こいつ……まさか……)
「お前、気付いてないのか?」

タバコを落としそうになりながら聞くと

「何がだ?」

と返事が返ってくる


と、3人は盛大にため息をついた

「何なんだ一体……」

「朝霧可哀想だな……」

「風間さん、あんまりゆっくりしてると俺がとっちゃいますよ?」


ゲシッ

風間は太刀川を踏みつけた

「もう一度言ってみろ」

「だから、俺がと――」

ゴキッ

「死ね」

太刀川の悲鳴が響いたところで東が風間を宥めた

「風間落ち着け。太刀川にそんなことをしても無駄だろう?」

「……確かにそうですね。すみません」

「いや、いいんだ」

「東さんまで……」

肩を落とした太刀川の肩を諏訪は慰めるように叩いた

「……ドンマイ」



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