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ワールドトリガー【中・短編集】

第64章 その先――風間蒼也


ある休日

午前中に朝霧との訓練をしたあと、俺は隊長会議に出席した

作戦室に戻ると菊地原たちは居らず、朝霧がベイルアウト用のベットで寝ていた

朝霧はすーすーと小さな寝息を立てている

俺は足音を立てないように近づき、傍らに膝をついた




午前中の訓練を詰めすぎたかもしれないな

と朝霧の寝顔を見ながら思った

三時間ほどの訓練で休憩を入れたのは2回ほど
疲れきって寝てしまったのかもしれない



恐る恐る朝霧の髪を撫でるといつもは気にしていなかったがさらさらだった

『………ん』

「!」

朝霧がもぞもぞと動き、俺は咄嗟に手を引く
だが、朝霧が起きることはなく胸を撫で下ろした


「東さんたちも簡単に言ってくれる……。告白できるならもうしている」

そう言いながら朝霧の髪を撫でていると朝霧の目がうっすらと開いた

「起きたか?」

『……かざま……さん……?』

「ああ」

頷くと朝霧はもう一度目を閉じ―――


『っすみません!』


と言って、ガバッと起き上がった

『私いつの間にか寝てて………。しかも風間隊の隊室で……!』

「いや、大丈夫だ」

『ほんと……すみません………』

しゅんと項垂れてしまった朝霧の頭に手を置く

そのまま撫で続けた

『……風間さん?』

いつもよりずっと時間が長いせいか、朝霧が不思議そうに顔をあげる

「俺は……もうお前を弟子としてみることはできない」

『……え………?』

朝霧の目はゆっくりと見開かれて声が掠れていた
ぽろりと落ちてしまった涙を拭ってずっと伝えたかったことを言葉にした


「俺は……お前が好きだ」


『……へ?』


今度は間抜けな顔をして俺を見つめる



「だから、弟子じゃなくて、俺の女になってくれないか?」


そう言うと朝霧は何度も頷いた

『私もっ……ずっと、風間さんが………好きでしたっ……』

「そうか」

よかった、と朝霧の頭を撫でるといつかみたいに朝霧が頬をムッと膨らませた

『子供扱いしないでくださいっ』

自分ではしているつもりはないが、と少し考えて思いつき朝霧の後頭部に手を添えた



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