• テキストサイズ

ワールドトリガー【中・短編集】

第61章 前髪―――米屋陽介


ガチャ


(来た!)

夏海はクローゼットの中に隠れていた
ちょっと開けておいたため、陽介が入ってきたのがわかった

公平と秀次には少し離れて入ってこいと前もって伝えておいたため、少し離れて入ってくる

(今だ!)

クローゼットは運良く開くときに音が鳴りにくいもので、勢い良く開けた

ドンッ

「ぐえっ」

後ろから陽介に突進してベットに二人して倒れ込む



「何なんだよ……?」

『陽介に前髪がある!』

「はぁ!?」

陽介が私を見て目が合ったとき、心臓が跳ねた

『ちょっ……なんかイケメン度が上がってない!?』

バッと顔を逸らすと陽介が上半身を起こし、腰に手が添えられる

つまり、カップルみたいになっているわけで……

『ちょっと……近いっ』

ぐっと肩を押してみるも相手は男で敵わない

「近いって……押し倒した人間がいう言葉かよ。
つーか、いつの間にか弾バカ達いねーんだけど」

『えっ!?』

驚いて後ろを振り向いても確かに居なくて、気配もしない

『ちょっ、こんなの作戦にない!』

「へぇ……作戦ねぇ」

(しまった……!)

「作戦ってどういうこと?」

『ひっ』

背骨のラインをツーッと触られて変な声が出る

「そんなに俺が前髪下ろしてるとこ見たかった?」

ん?と顔を近づけられて顔がどんどん熱くなる

『だって……いつも上げてるから……』

「別に、言ってくれたら下ろすのに」

『嘘だ!公平が下ろしてくれなかったって言ってた!』

「誰が野郎の反応見たいんだよ。夏海ならすぐに下ろすぜ?」

『……うぅ……』

何だか陽介がいつもとまったく違う人に見えて何故かドキドキする

『わ、わかったから離して』

「やだ」

『えっ?』

そのとき、ぎゅっと抱き締められた

『ちょっと!離して!』

「離さない」

『心臓がもたないってば!………あっ』

言い終わってから恥ずかしいことを言ってしまったことに気付く

「それ……どういうこと?」

陽介の目はしっかりと私を捉えていて逃げられない

『いつもよりずっと……その……カッコいいから……。抱き締められたりしたら、心臓が』

―――壊れそう


そう言おうとしたら唇に何かが当たる感触がした


/ 345ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp