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ワールドトリガー【中・短編集】

第60章 猫―――風間蒼也


映画を見終わると話は各隊の隊員たちの話になった

寺島以外は全員隊長だし、寺島もチーフエンジニアだ
話はだんだん部下の自慢話となってくる

そんなとき、胡座をかいていた足に重みがした

「どうした?」

そう声をかけると出水の自慢をしていた太刀川の声が止み、全員がこちらを向く

『にゃおぉ』

「うおっ!ビビった!」

「へぇ、こいつが風間の飼ってる猫か」

「まだ小さいな」

「可愛いな、おいで」

『フッー!』

寺島が夏海向かって手を差し出すが夏海は警戒して毛を逆立てた

「あっはは!!寺島嫌われてやんの!!」

「名前は何て言うんですか?」

「夏海だ」

「へぇ、風間さん随分可愛がってるんだな」

「まぁな」

そんなことを話ながらも夏海を撫でているとゴロゴロと喉を鳴らす

「俺も撫でていいか?」

控え目に夏海に手を差し出す木崎を夏海は少し見つめるとゆっくりと近寄った
木崎がそのままでいると夏海は木崎の手に頬を擦り寄せる

「よーしよし、いい子だ」

「さすがレイジだな。玉狛のオカン」

「誰がオカンだ。この子は頭がいいんだよ」

「じゃあ俺もっ!」

と太刀川が撫でようとすると

カプッ

「いってぇぇぇっ!!」

太刀川の指に容赦なく噛みついた夏海の頭に手を置いて少し体重をのせる

「いくらクソな太刀川でも噛んだらダメだ」

『にゃぉ』

反省したように項垂れたため優しく撫でてやると嬉しそうにした

「風間さん途中すっごい酷いこと言われた気がしたんだけど――」

「気のせいだ」

「ひどいっ」

「フンッ、日頃の行いが悪いからだ」

「んだと二宮っ!」


20歳同士で言い合っている太刀川と二宮は置いておいて、俺たちは夏海を可愛がっていた

夏海も段々となれてきて、噛んだ太刀川にも自ら近づいて行くようになっていた


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