• テキストサイズ

ワールドトリガー【中・短編集】

第60章 猫―――風間蒼也


ピーンポーン

家のインターホンが鳴り私は寝室に逃げ込む
インターホンが鳴る前にぞろぞろと足音が聞こえたからだ

風間はゆったりとした足取りで玄関に向かう

知り合いなのだろうか?

「急で悪いな、風間」

一人目

「いつものことだ。気にしていない」

「さっすが風間!」

二人目

「諏訪はもうちょっと感謝した方がいいよ」

三人目

「お邪魔します。風間さん」

四人目

「ああ、入ってくれ」

「やっぱ風間さん家は綺麗だな」

五人目

全員で五人か
全員男のようだ

「太刀川の家は汚そうだ」

「隊室を見れば明らかだな」

そう言う風間の言葉は冷たいが声音は言葉ほど冷たくなく仲の良いことが窺える

しかし、出ていく気にはなれなかった


風間を含めた男たちはビールを手に飲み始めた

「ボーダー」とか「大学」という単語が出てくるが、それが何なのか私にはわからない

少しした頃諏訪と呼ばれる男が私のご飯を目にして言った言葉に私はさらに身を小さくした

「あ?風間って猫飼ってんのか?」

「え!?猫?」

「ああ。昨日拾った」

「急だな」

「まあな」

すると、それを聞いた太刀川と諏訪は私を探し始めた

「何処だー?」

「出ておいでー。子猫ちゃん!」

『……っ』

「おい、お前ら出てこないってことは嫌がってるんだ。そっとしておいてやれ」

「「えー!」」

「まったく……」

木崎の言葉に二人は不満の声を漏らし、二宮は呆れ、寺島は苦笑した

そんな中風間はいきなり立ち上がった

「おっ、猫連れてきてくれんのか?」

「違う。お前たちが見たいといっていたDVDを取りに行くだけだ」

「ちぇー。つまんねーの」

風間は太刀川を無視して寝室に入った

ベットの下から出てきた夏海を撫でる

「騒がしくてすまないな。嫌ならここにいて構わない」

『にゃうん……』

「出てきたくなったら来ていいぞ。夏海ならきっとあいつらも気に入る」

『……にゃあ…?』

「わからないか。まあ、夏海の好きなようにしてくれ」

その言葉に応えるように風間の足にすり寄る
風間は笑ってDVDを取ると部屋を出ていった


/ 345ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp