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ワールドトリガー【中・短編集】

第58章 猫化―――太刀川慶


『慶、お風呂どうする?その体のままでも入れるの?』

「……んにゃ?」

猫って風呂に入るのか?
考えてみるが、まあ、元々人間だし大丈夫だろ

と、安易な結論に辿り着く

『んー、でも慶一人じゃ入れないでしょ?』



「にやぁ」

俺はいいことを思い付いて夏海を見た

『ちょっと、何考えてるのよ。嫌な予感しかしないんだけど』

その通りだ

俺は浴室に向かって夏海の足をぐいぐいと押した
もちろん、猫である俺の力では動かないはずだが、夏海は渋々と浴室に向かう

お湯を張り始めた夏海は困ったように俺を見た

『ねぇ、洗ってあげるから私服着たままで―――』

「んにゃ!」

それじゃあ、俺が風呂に入る意味がない
夏海が脱がなきゃ俺はほんとにペットみたいな扱いだ

『……もうペットじゃん』

「にゃっ!」

何っ!?俺はペットじゃない!

そんな言い合いをしていると風呂が沸く音がなった

『あ、あっち向いてて!』

仕方なく夏海に背を向けるようにして座ると、少しして布が擦れる音がし始めた

そして、抱き上げられたと思ったら夏海は扉を開け浴室に入った



『ちょ、そんな見ないで……』


猫と言う立場を利用してしっかりと夏海の裸体を目に焼き付ける

夏海は女にしては身長は高い方だし、胸もある
腰も細いし、俺が今まで見てきた女の体で一番綺麗な体だ

もちろん、夏海自身も愛してるけどなっ



『はい、洗うからじっとしててね』

少し温度が低めのお湯をかけられて目を瞑る

夏海はボディソープを手に取り軽く泡立てて俺の体にその泡をつけていった
優しく撫でられるように洗われて俺からも夏海の手に擦り寄っていく

『流すよ』

泡が体から落ちていってふと、下を見ると猫の毛がかなりおちていた

『あらら……慶、人間に戻ったら禿げてたりして』

「にゃあ!?」

洒落にならないぞ!まだ二十歳で禿げるなんて嫌だ!!


かなりショックを受けていると夏海は吹き出した

『ウソウソ!冗談だよ。
それに、もし禿げてたとしてもそんなので嫌いになったりしないから』

夏海……っ!


『――多分』


「にゃ!」

おい!


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