第57章 会話―――辻新之助
あれから数日後、私は委員長の仕事のため居残りしていた
副委員長もいるのだが、今日は部活の試合があり公欠していた
『……ふぅ……まだまだあるな……』
今日一日で終わらせなくてもいいと言われたのだが、副委員長は男子のため恐らくやってくれないだろうし、今日一日で終わらせる方が楽だと思っている
今日の仕事は次の保護者説明会で使う資料を纏めること
プリントが10枚ありそれを束ねてホッチキスで止めれば一部完成だ
今30部作り終えたため、あと20部だ
表紙のプリントをとったその時、教室の扉が開いた
『っ!』
「……あ……」
『……辻くん』
辻くんは額に汗を滲ませ立っていた
『どうしたの?忘れ物?』
「………ああ。数学の……問題集を……」
そう言って辻くんは机に向かい問題集を取り出して鞄に入れた
それを見ながら資料を纏めていると辻くんと目があった
しかし、辻くんはいつまでも私を見ていて、苦手じゃ……と思いながらも視線をそらせないでいた
「……それ……今日中……?」
『ううん。先生には今日中じゃなくてもいいって言われたんだけど、私がやりたいから』
「……そうか……」
『……うん』
頷くと何故か辻くんは私の方に来て私の机の前の椅子に腰かけた
『つ、辻くん?』
「……俺も……手伝うよ……」
『えっ!?いいよ。私の仕事だし』
「でも…、副委員長の仕事でもある」
『そうだけど……』
「じゃあ、普通なら二人でやる仕事だ」
『うん』
辻くんの正論過ぎる言葉を聞きながら、段々辻くんの言葉と言葉の間に間がなくなってきていることに気がついた
『あの、辻くん……』
「何だ?」
『辻くんって女子が苦手なんじゃなかった?』
「……。そうだけど、朝霧さんはなんか大丈夫」
『どうして?』
「媚……売らないから」
『媚売るから女子が苦手なの?』
「それだけじゃないけど……。そんなことより、これ早く終わらせよう」
『あっ、そうだね』
辻くんにやり方を教えるとそこからは早かった
一人でやるより二人でやる方が早いのはわかりきっていることで、それが辻くんなら尚更だ
そして、辻くんが来てから30分後すべての資料を纏め終えた