第57章 会話―――辻新之助
*夢主は一般人です
「あ、あああのっっ、」
『ん?』
机に座っている私に声をかけてきたのはボーダーに入っている辻くん
その辻くんは私にノートを差し出していた
立ち上がってノートに書いてある字を見てみると古典と書かれていた
『あっ、ノート!ありがとう』
「い、いやっ、俺、昼から防衛任務だから」
どうやら辻くんは女子が苦手らしい
話している間も私の方を一切見ようとしない
初めは傷ついたが苦手と言うことを知って嫌われているわけではないのかな、と思い少し安心した
私はこのクラスの委員長のため、さっきの授業で今日中に古典のノートを集めるように言われていた
『ありがとう辻くん』
私は辻くんからノートを受け取りお礼を言うと辻くんは控えめに頷いた
自分の席に戻ろうとする辻くんの背中を見て私は慌てて呼び止めた
『辻くんっ!』
少し大きな声が出てしまい、案の定辻くんの肩がビクッとなった
『防衛任務、頑張ってね』
そう言うと、振り向いた辻くんの目が見開かれて、笑いかけると辻くんは少し笑った
「………ありがとう……………朝霧さん……」
小さな声だったが私にはちゃんと聞こえた
それに名前を覚えていてくれたことがすごく嬉しかった
辻くんは頭がいいから当たり前なんだろうけど
『……うん!』
辻くんは私が返事するとすぐに席に戻っていってしまった
けど、私はそのあとの授業、ずっと顔がにやけていた