第55章 ちょっと休憩7(完結)
転送された先で、お兄ちゃんを見つける
ビルの上に立っている私を歩道橋にいるお兄ちゃんも見つけたようだ
私は弧月を抜いた
そして、私はビルから飛び降り地面に着地する前にグラスホッパーを使いお兄ちゃんの方へ加速した
“旋空弧月”
お兄ちゃんの口がそう動き弧月が抜かれる
私は弧月を二本構えガードした
しかし、私の弧月は軽量化したためそう何度も受けていられない
となれば、こちらから攻撃するしかない
『旋空弧月』
両手に持った弧月をクロスさせるように振る
それに対してお兄ちゃんは飛んで避けると私の後ろに回った
振り向くと同時にお兄ちゃんは弧月を振り下ろす
ガッ
ギリギリのところで何とか防ぎ、お兄ちゃんを蹴り飛ばす
「ひどいなぁ、夏海。お兄ちゃんを蹴り飛ばすなんて」
空中で回り地面に降り立つ
『お兄ちゃんだって私を斬ろうとしたでしょ。お互い様』
「確かにそうだ」
『手加減……してないよね?』
「するわけないだろ。いつも本気だ」
『良かった』
二人は笑顔で旋空の打ち合いを始めた
しかし、実力が上なのはわかりきっている通り兄の方だ
夏海は地面に向かって旋空を放ち土煙に紛れてバッグワームを起動し、弧月を鞘に納め宙に浮いた瓦礫を兄に向かって打った
兄の放った旋空をシールドで防ぎながら建物に身を隠す
『…………はぁ』
夏海は壁にもたれ掛かり息を吐いた
「へぇ……上手くなったな」
太刀川は消えた夏海の上達を嬉しく思い優しく笑った
――――観客
「あー、夏海隠れた」
いつの間にか買ったジュースを飲み頬杖をつく米屋
「まあ、あの場合はそうするしかなかっただろう」
モニターを見ながらそう答える三輪
「けど、次出るの厳しくねーか?相手は太刀川さんだぜ?今回も負けちまうんじゃ――」
「黙って見てろよ、槍バカ」
「うるせー弾バカ」
「あいつは今までとは違う。あいつには太刀川さんも知らないもうひとつの武器がある」
「「……?」」
真っ直ぐにモニターの夏海を見つめる出水の目には自信があるようだった
「武器……ねぇ……」
米屋が視線を戻すとちょうど夏海が動くところだった