第55章 ちょっと休憩7(完結)
ガキィンッ
ガッッ
ドンドンッ
菊地原たちと一旦距離をとったところで、耳に手を当てる
『柚宇さん。公平あとどのくらい?』
「《あと30秒ぐらいかな~?あ、でも、トリオン結構使っちゃったし左手もないよ》」
『えー!?何やってんの、公平』
「うるせー。残ってやってるだけありがたいと思え!」
「夏海先輩!来ますよ!」
『わかってるよ。公平』
「へいへい。……アステロイド」
夏海たちを視界にとらえた出水は左手を失ってるとは思えないほどの火力の弾丸を放つ
「泣いて感謝しろよ?夏海」
『へいへい。感謝してるよ、泣かないけど』
公平の口調を真似て言ってみると軽く蹴りを入れられる
「調子に乗るな」
『ひどい~。女の子に暴力したらダメなんだよ~。ねぇ、柚宇さん!』
「《出水くんモテないよ~?》」
「余計なお世話ですよ!」
(つーか、俺モテてるし)
『あー!今俺モテてるし――とか思ったでしょ!これだからナルシストは……』
やだやだ、とばかりに首を横に振る夏海を見て出水の額に青筋が浮かぶ
「いい度胸だ。あいつらに勝てなかったら俺の言うこと一生聞いてもらうからな!」
『絶対勝つ』
ニッと自信ありげに笑う二人を後ろから見ていた唯我は何故か誇らしくなった
この二人は強いのにそれを棚に上げずいつも楽しんでいる
自分とは正反対だ
「おい、唯我」
「は、はいっ!」
「あー?なーに固くなってんだ。
ほら、行くぞ。ちょっとでも長く残れ」
ほら、こんなときにも自分に声をかけてくれる
……こんな自分に
「わかってますよ!」
『あ、そうだ唯我。さっきはありがと。
菊地原たちの連携相手じゃ私一人はちょっとキツかったから助かった』
ほら、この人もだ
僕も……この人たちみたいになりたい
「よっしゃ!いくぜ!二人とも!」
「はい!」
『おーけー!』