第55章 ちょっと休憩7(完結)
(あーちくしょー……。ほんと強ぇーなこの人は……)
出水はつい先ほど斬られた腕を抑えながら、心の中でため息をつく
出水は左腕を失い、風間は小さな傷が幾つもある
しかし、今不利なのは圧倒的に出水だった
辺りはほとんど更地となり残っている建物は出水がいた建物を含め少しとなっていた
出水の視線の少し先には風間がスコーピオンを両手に構え今にも攻撃してきそうな雰囲気だ
「成る程ね………。
建物で俺の射撃を防ぐだけじゃなくて、俺の弾で障害物を消して、逆に近づきやすくもなるって訳ですか」
「そうだ。太刀川以上にお前のその射撃センスは用心している」
「それは光栄ですね。けど、このまま落ちる訳にはいかないんすわ。
メテオラ+バイパー―――トマホーク!」
「!」
風間は思った通り避け、出水の放ったトマホークによって土煙が上がる
その中から風間は飛び出し、出水の方にスコーピオンの剣先を向けた
しかし、出水はそれを狙っていた
「アステロイド!!」
威力を捨てた弾速重視のアステロイドは真っ直ぐに風間を襲う
「グッ……!!」
スコーピオンを両手に持っていた風間は、シールドを張るも何発か被弾してしまう
しかし、それで終わるはずもなく風間は出水へと向かった
(……終わった……。まあ、風間さんは止めれたし、いいか……)
そう諦め、目を閉じたときだった
ガキィンッ
その音に目を開けた出水の視界に入ったのは、風間のスコーピオンを受け止めるシスコンだけど頼りになる隊長の背中だった
「バカ野郎、諦めるのはまだ早いぞ。お前は夏海の方に行け。風間さんの相手は俺がやる」
「別に諦めてないですよ」
少し強がってみると太刀川さんが小さく吹き出しているのが背中越しにわかった
なんか、ムカついて弾丸を太刀川さんの股下を潜らせ風間さんに攻撃する
風間さんは驚いたように飛び退き、太刀川さんは慌てたように振り向く
「バッ……!この野郎、さっさと行け!」
「はーい!」
慌てた太刀川さんの顔が面白くて上機嫌になった俺は夏海の方に向かった