第53章 サボり―――当真勇
『うるさーい』
当真を小突くとラーメン屋についた
「おっちゃん!いつもの!」
「あいよ!」
当真にくっついてここに来るようになってから早一年
すっかり店長や店員と仲良くなったお陰で、いつもの、と言えばラーメンが出てくるようになった
「ホント仲いいねぇ。勇くんも夏海ちゃんも!」
当真の味噌ラーメンと私の豚骨ラーメンを店長が直接持ってくる
他に客は居ないため、私たちのテーブルの隣に腰かけた
『サボり仲間だからねー』
「サボってんのかい!?」
「だいじょーぶ。二人ともつえーから」
「そりゃあ、頼もしいな!けど、サボるのはいかんぞ!ほどほどにな!」
『えー!』
「めんどくせーよー」
「まあ、楽しいのが一番だがな!」
はっはっはっと豪快に笑う店長とずずずとラーメンをすする私たち
『何かあったらすぐに飛んできてあげる』
「おうっ、本当かい?」
「ここのラーメンが食べられなくなんのは困るからな」
「嬉しいねぇ~」
店長は照れたように鼻の下を擦った
3人で世間話、学校の話などたくさんのことを話した
私と当真は本当に店長のことが大好きだった
『「ごちそうさまでした」』
「おー、スープまでちゃんと飲んでくれたのか!ありがとな!」
『美味しかったよ!また来るね!』
「じゃあな!おっちゃん!」
「また来いよ!」
あと少しで、客の数がピークに達する
店長の邪魔にならないようにいつも通り手を振って早めに帰った
「ほんとここはうまいよな~」
『ねー。次はいつ来る?』
「んー、まあ、適当にな」
『言うと思った』
私たちはけらけら笑いながら帰った