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ワールドトリガー【中・短編集】

第51章 告白―――嵐山准


「夏海!」

講義が終わって夏海と一緒にボーダーに行こうと思ったけど、夏海と連絡がつかなかった

嫌な予感がして大学の敷地内を探し回った

もう帰ったのかと思ったとき、少し先のベンチに座って空を見上げている夏海の姿があった

駆け寄ると、夏海はふっと息を吐いて俺を見た

『……准………どうしたの………?』

しかし、その頬は赤く腫れ上がっていた

「………夏海っ!?どうしたんだその頬っぺた!!」

『……ちょっと喧嘩しちゃった………』

そう言って微笑んで夏海は俯いた

夏海、知ってるか?

夏海が何かを隠したいとき、必ず微笑んで俯くんだ

だけど、それは俺には話してくれない

「………。大丈夫か?」

『うん。見た目ほど痛くないから』

「そうかよかった。でも、すぐに冷やさないと。何かあったら大変だからな」

『大丈夫だってば』

「ダメだ!女の子なんだから顔は大切にしないと。綺麗な顔が台無しになるぞ?」

腫れた頬に手を当てると夏海はぴくっと肩を揺らした

「………」

『……?………准………?』

俺は―――――

「…………何でもない。ほら、いくぞ」

『ちょっと、准!』

振り切るように夏海の手をとって歩き出した


幼馴染みという関係を壊したくない
壊してしまえば、後には戻れなくなる


―――――夏海が好きだ



そう言えれば、どんなに楽か



手を繋いで歩く二人を疎ましそうに見る影の存在に二人は気付かなかった

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