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ワールドトリガー【中・短編集】

第49章 ちょっと休憩6


私を見て少し微笑み、左手でちょいちょいと手招きする
それに引き寄せられるように病室へとはいった

そのままお兄ちゃんに縋り付く

『………よかった……!…………おにいちゃっ………』

ポロポロと溢れる涙は止まることなくお兄ちゃんの肩を濡らしていく

「泣き虫になったなー、夏海」

お兄ちゃんは軽い口調で私の背中を叩きながら言った

『ふざけないで……!本当に心配したんだから……!』

「……ああ、わかってる。……心配掛けて悪かった……」

左腕だけでぎゅうと抱き締められてさらに涙が溢れた

『……ふっ………うっ…………』

嗚咽が漏れてお兄ちゃんの胸に額をつける
お兄ちゃんはゆっくりと頭を撫でる



ここにいるということ、お兄ちゃんの体温にひどく安心して、ぎゅうと抱きついた

いてーよ、とお兄ちゃんが言ったため、少し力は緩めるが離しはしない

私はそのまま瞼を閉じた



「夏海、スゲー心配してたんすよ」

「ああ、知ってる。顔を見てわかった」

あのまま寝てしまった夏海の背中を擦りながら太刀川さんは微笑んだ

「夏海、弁当食べる前、お兄ちゃんって言ったんすよ。そのあと風間さんから連絡来るし……」

「双子みたいだな」

風間さんは寝ている夏海のために毛布をかけた

夏海は何でもないと言ったが、米屋と3人で弁当を食べているときに風間さんから連絡が来たのには心底驚いた

それと同時に、夏海が心配になった

あのあとから夏海は放心状態になり、授業中もずっとボーッとしていた
だが、授業が終わるとすぐに準備をしてホームルームが終わっていないのにも関わらず教室を飛び出した

「太刀川っ!?」

「招集かかったんで行きます!」

適当な理由をつけて俺たちも教室を飛び出した
いくら夏海が全力で走っても、やっぱり女で

俺たちはすぐに追い付いた

そのまま3人で病院まで全力で走った

病院内に入ってからは走れないため、早歩きで太刀川さんの病室まで行く
その間も夏海は不安そうで今にも泣き出しそうな顔をしていた

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