第49章 ちょっと休憩6
「夏海ー、昼飯食おうぜ」
『うん』
公平が私の机の前に立った
鞄から弁当を取り出して席をたつ
公平の視線の先を追うと陽介が机に突っ伏して寝ていた
「おいこら槍バカ!いつまで寝てんだよ!」
「……あー………うー………あぁ?」
『ほら、もう昼休みだよ』
「おっマジ?よっしゃ!弁当食おうぜ!!」
「だからそれで起こしたんだよ!」
ゾクッ
その時背筋が凍るような感じがした
『…………おにい……ちゃん………?』
思わず口から出たのは兄の名前
嫌な予感がする
「ん?どーした?夏海」
『な、何でもないよ!』
気のせいだと言い聞かせて公平たちと弁当を食べ始めた
しかし、
む゛ーーむ゛ーー
『風間さん……?』
珍しいと思いながらもメールを開く
『…………え…………?』
私はスマホを持つ手が震えるのがわかった
その様子を見てか公平たちも画面を覗く
「どーした?」
「なんだ?」
「………は………?」
「…………うそだろ………!?」
―――――太刀川が車に撥ねられた
今手術している
授業が終わったら病院へ来い
お前たちの親には連絡をいれてある―――――
そのあとどうやって教室に戻り、授業を受けたのかは覚えていない
ただ、授業が終わってからすぐ私と公平、陽介は病院へと走った
さすがに病院内では走るわけにもいかず、受付で確認した病室へと向かう
脳が嫌な方向にばかり考える
お兄ちゃんが目を覚まさなかったら………
記憶が亡くなっていたら…………
夏海って名前を呼んでくれなかったら………
もう二度と抱き締めて貰えなかったら………
そう思うと、私の足は自然と早歩きになっていた
病室の前まで来て、浅く深呼吸をする
そして、震える手でドアをノックした
「どうぞ」
それは風間さんの声で
恐る恐るドアを開けると風間さん、そして、上半身を起こしたお兄ちゃんがいた
頭に包帯を巻いて、右腕を骨折したのか固定されている姿を見て涙が溢れた
「夏海」