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ワールドトリガー【中・短編集】

第45章 クリスマス―――影浦雅人


ラウンジにいくと、向かい合って座る光と夏海がいた
少し離れたところの壁にもたれ掛かる

「じゃあ、もっとわがまま言えよ!デートとかしたくねぇのか!?」

『したいけど、カゲが嫌がってるのに行くわけにはいかないよ。そんなの楽しくないし』

「ちょっとぐらいわがまま言え!それでカゲになんかされたらあたしに言え!カゲのやつぶん殴ってやる!」

『ちょっと、それはダメだって。………気持ちは嬉しいけど、私はカゲといられるだけで嬉しいから………』

それを聞いてやっと自分がどれほど夏海のことを考えていなかったのかを思い知らされた
夏海はいつだって、俺のことを考えて行動していたというのに………

「夏海………いいやつ過ぎる!!」

光は夏海に抱きついた
思わず、羨ましいとさえ感じる
俺は未だに手を繋いだことがないのに

「カゲのバカは夏海にもっと頼って欲しいって思ってるはずだぜ?」

『………十分頼ってるんだけどな………』

「もっとだよ!とにかく!今すぐカゲに自分のしたいこと伝えてこい!」

『ええっ!?待って!押さないでよ光!』

光は夏海をラウンジから追い出そうとする
その光はしっかりと俺を見つけて俺の方に夏海を押し出してきた
そのまま夏海がぶつかってくる

『あ、ごめんなさい…………。って、カゲ?どうしてここに?』

俺を捉えたその目は大きく見開かれた

「……光……貰ってくぞ………」

「どうぞ!」

戸惑っている夏海の手を取り、作戦室へと向かう


『カゲっ………!いつからいたの?』

「…………デートの話の時………。つーか、デートしたいならしたいって言えよ」

『でも、カゲには無理させたくないから。………わっ』

急に立ち止まった俺の背中に勢いよく夏海がぶつかる
俺は振り返って夏海の頭を乱暴に撫でた

「それで、お前が無理したら意味ねーだろ」

『私は別に―――「なら、明日の夜、予定入れるな」―――え?』

「だから!デートするぞっつってんだよ!」

『……………うん!』

夏海は嬉しそうに笑った


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