第45章 クリスマス―――影浦雅人
『光、お待たせ』
ラウンジで座っていた光に声をかけると光はニッと笑顔を向けた
「おう!夏海、悪いな。呼び出して」
『大丈夫、暇だったし』
光の正面に腰を下ろすと、光が聞いてきた
「なあ、夏海。カゲのこと好きか?」
『え?何?急に……』
「好きか?」
『それはもちろん………好きだけど……』
「じゃあ、もっとわがまま言えよ!デートとかしたくねぇのか!?」
『したいけど、カゲが嫌がってるのに行くわけにはいかないよ。そんなの楽しくないし』
本当は明日のクリスマスもイルミネーションとか見に行きたいけど、カゲが嫌なのは知ってる
だから、嫌々つれていく気もない
「ちょっとぐらいわがまま言え!それでカゲになんかされたらあたしに言え!カゲのやつぶん殴ってやる!」
『ちょっと、それはダメだって。………気持ちは嬉しいけど、私はカゲといられるだけで嬉しいから………』
「夏海………いいやつ過ぎる!!」
光は涙目になって抱きついてきた
「カゲのバカは夏海にもっと頼って欲しいって思ってるはずだぜ?」
『………十分頼ってるんだけどな………』
「もっとだよ!とにかく!今すぐカゲに自分のしたいこと伝えてこい!」
『ええっ!?待って!押さないでよ光!』
光は私をラウンジから追い出そうとする
と、その時、誰かにぶつかってしまった
『あ、ごめんなさい…………。って、カゲ?どうしてここに?』
「……光……貰ってくぞ………」
「どうぞ!」
ぐいっと手を引かれ、よろけながらもカゲのあとをついていく