第45章 クリスマス―――影浦雅人
明日はクリスマス
カップルは寄り添って飾られたツリーや、イルミネーションを見る
そして、「きれいだね」って言う
確かに綺麗だろうが、そんなもののためになんで寒い中外に出なきゃならねぇんだ
「………意味わかんねェ………」
スマホを片手に弄りながらそう呟く
『………?何が?』
読んでいた本から顔をあげて一応彼女の夏海が聞いてきた
「………何でもねぇよ………」
『………そう?ならいいけど………』
本に視線を戻した夏海
その横顔を見る
夏海は自分のしたいことや、欲しいものをあまり言わない
前に聞いたとき、興味ないと答えられた
だが、本当なのだろうか?
俺に気を遣って言わないだけではないだろうか
それとも俺のことが好きじゃないのか
………………俺らしくねェ………
『あ、もうこんな時間』
「何か用事か?」
『うん、光に呼び出されてるから』
「………そうか………」
夏海は本を鞄にいれるとソファから腰をあげた
そのまま廊下に出る隊室の扉へと歩いていく
視線だけでその動きを追うと、夏海が振り返った
『……じゃあね……』
「………おう………」
夏海は少しだけ微笑んで出ていった
「……ちっ……」
あれから数分、夏海のことが気になって仕方がない
がしがしと頭を掻いて立ち上がり、隊室をあとにした