• テキストサイズ

ワールドトリガー【中・短編集】

第37章 バレンタイン――二宮匡貴


しかし、冬島隊、風間隊、草壁隊、に行っても夏海には追い付けない

「……くっそ………!」

息が切れるのも構わずにスピードをあげた



『ふんふんふーん』

次は嵐山隊だ
女の子にはガトーショコラ
男の子にはクッキーを作ってきた
奈良坂くんは特別にガトーショコラを作ってきている

匡貴には両方作った
今頃、椅子に置いてきたそれに気づいて怒っているだろうか?

直接渡すのは恥ずかしくて出来なかったため、前もって、二宮隊の椅子に置いてきたのだ

『……次会うときが怖いな…………』

匡貴の怒っている顔が容易に想像できて思わず苦笑が漏れる

その時、背後からものすごい音が聞こえた

ドドドドドドッ

『え!?何っ!?』

振り向いた瞬間、目の前が真っ暗になった

『うぶっ!』

ものすごい勢いでぶつかられて、後ろに倒れそうになったが、抱き締められてそうはならなかった

鼻を掠めた匂いで相手が誰なのかがわかる
走ってきたからか、息が上がっている

『匡貴………痛いよ』

名前を呼ぶとぎゅう、ときつく抱き締められて苦しくなってくる

『ちょっ、くるしっ!』

匡貴の背中をポンポンと叩くと、力を緩められて顎を掬われた

「……直接渡せ……バカ……」

『気づいたんだ?』

「お前が出ていってからすぐな」

『そう、それでどうして走ってきたの?』

「抱き締めてキスしたくなった」

『何それ』

「だから、キスする」

『は?本気!?ちょっとま………んっ……』

言葉を遮るようにキスされる
運が良いのか廊下には誰もいないが、誰か来るかもしれないと思うと焦りが出てくる

でも、匡貴はそんなことは気にしていないのか、キスは止まることなく、更に深くなっていく

『……ふぁ………んっ……』

酸素を求めて少し口を開いた瞬間、匡貴の舌がぬるり、と入ってくる

上顎、歯列をなぞられ、舌を絡め取られる

私の腰はすっかり抜けてしまっていて、崩れ落ちないように必死に匡貴の首へ腕を伸ばした

匡貴は私を見てニヤリと笑うと壁へと追い込み、私の足の間に片足を入れるとぐりぐりと押し付けてくる

『……まさ……たかぁ……まっ………』

待って

そう言おうとした言葉はまた遮られる

しかし、匡貴はすぐに私の唇を解放すると、私に見せつけるように自身の唇をぺろり、と舐めた

/ 345ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp