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ワールドトリガー【中・短編集】

第35章 障害――――出水公平(中)


「よぉ、夏海」

『………!』

少し歩くと、壁に背を預けて立っていた太刀川さんがいた

片手をあげた太刀川さんに駆け寄る

『どうしたんですか?』

「告白の段取り決めたのに夏海が出てこれなかったからな。今日やるぞ」

『………!?』

『待ってください!いまからですか!?』

太刀川隊の作戦室の方へ歩いていく太刀川さんの腕をつかんでひき止める

「今から。で、ないと俺が加古に殺される」

『でもっ、心の準備が……』

「なら、作戦室までに整えとけ」

『そんなっ!』

「行くぞ」

太刀川さんは私の手を取るとズンズンと歩いていく
必死に踏ん張るが、さすがは男性だ
全く敵わず、引っ張られていく


(…………ど、どうしよう!)


慌てているうちに作戦室の前まで来てしまった
太刀川さんはそのまま入っていく

太刀川さんの後ろから恐る恐る覗いてみるが、誰もいない

『…………?』

てっきり、出水くんがいるのかと思っていた私はほっとした
のも束の間、太刀川さんが私をソファに座らせると出ていこうとする

『……っ!?』

慌てて腕を掴むと、にっこりと笑って手を引き剥がされる
ノートに手早く字を書いて見せる

『ここに、居てください!』

「いやぁ、邪魔物は消えなきゃな~」

『………!?』

見たことないほど、にやにやと笑う太刀川さんはそのまま出ていく

私も出ていこうかと思ったが、誰もいないのに出ていっても良いのか、と立ちすくむ

仕方なく、ソファに座る

(……どうしよう……これはもう逃げられない……)



「太刀川さん、話って何ですか?」

『…………!』

扉が開いて入ってきた出水くんは私を見て目を見開いた

「え!?何で夏海がここに?太刀川さんは!?」

部屋を出ていこうとする出水くんの服の一部を掴む

「………夏海?」

ゆっくりと振り返った出水くんの顔は少し赤らんでいて、私の顔はそれ以上に赤いと思う

『…………』

「………どうした?」

目線を合わせてくれた出水くんに抱きついた
出水くんの体が強ばるのを感じたが、逃がすまいとぎゅうっ、と更に腕に力を入れた

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