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ワールドトリガー【中・短編集】

第35章 障害――――出水公平(中)


「いやいや、そんな呑気なこといってる場合じゃないよ。加古ちゃん」

「で、その相手は誰なんだ?」

風間の冷静な声で全員が夏海の方を見る

『………出水くんです』

「「「……………」」」

「い、出水………?」

諏訪は意外な人物の名前が出てきてくわえていた煙草を落とした

「出水か……」

「出水くんって良い子よね」

加古の言葉に夏海は何回も首を上下にさせた

「てっきり、嵐山とかだと思ったな」

『………?』

聞き覚えのない名前に首を傾げる
それを見た冬島は苦笑して夏海の頭を撫でた

「知らないならそれで良いよ」

「出水かぁー………なるほど……」

「何だ、太刀川。ニヤニヤして気持ち悪いぞ」

「ひどっ!風間さん!」

『あの、それで……どうしたら良いんでしょうか……?』

「何がだ?」

『こんな気持ち………初めてで………どうしたら良いのか、わかりません』

「………そのまま伝えれば良いだろう」

「風間の言う通り告白すれば良いんだよ」

『告白?』

「そうよ。好きですっていっちゃえば良いのよ」

『……!?』

夏海は顔を真っ赤にさせて首を横に振った

そんなこと言えない……!

それに私は……


『………私は………障害を持ってるし………』

すると、二宮さんが私の方に歩いてきて思いきりでこピンをした

『………!?』

あまりの痛さに涙目で訴えると、二宮さんはさっきとは違って優しく頭を撫でてくれた

「出水はそんなことで告白を断るような男じゃねーよ」

『……!』

「そうだぞ。それにそんな出水だから好きになったんだろう?」

東さんは優しく微笑んでそう言った
周りを見ると皆も優しく笑っている

私は大きく頷いた

「よしっ!じゃあ、夏海の告白の手伝いをしましょう!」

加古はさすが女子と言うべきか、張り切っていた
同じ隊の太刀川さんが全面的に協力することに決まり、東隊の作戦室は日付が変わってもこの話題で盛り上がっていた



そして、それから1週間
告白をしようと決心したが、忍田さんの書類の処理に思いの外時間がかかり、太刀川さんたちに会うことすら出来なかった


(……よしっ………これで最後だ……)


「お疲れ、夏海。今日はもういいぞ」

扉の前で一礼してから廊下へと出る

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