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ワールドトリガー【中・短編集】

第35章 障害――――出水公平(中)


トントン

「ん?」

東は背中を叩かれて振り向くとにこにこと笑っている夏海

「夏海。どうした?機嫌がいいな」

『この前、出水くんと連絡先交換したんです!』

「へぇ、珍しいな。人見知りなのに」

『すっごく優しくて、面白かったんです』

「そうか。出水は良いやつだからな」

すると、夏海は満面の笑みで大きく頷いた

これは、それだけじゃないな

「夏海、出水が好きなのか?」

『…………!』

途端にボッ、と顔が赤くなる
耳まで赤い

夏海は顔を赤らめたままでこく、と頷く
ここまで来たら、苦笑するしかない

「俺に言いに来たってことは、皆にも言うつもりなんだろう?」

夏海は頷いて俺を見上げた

「じゃあ、今日の夜、皆を集めようか」

夏海の頭を撫でると恥ずかしそうに笑った





「これ、何の集まりだ?」

「共通点っつったら全員成人ってことか」

ここは東隊の作戦室

東に集まるように言われてやって来たのは冬島、風間、諏訪、堤、太刀川、二宮、加古だ
呼び出した東本人はつい先程出ていった

「会議とか?」

「違うだろ。会議なら忍田さんとか来るだろうし」

その時、作戦室の扉が開いた

「悪い。待たせたな」

「東さん。…………と、夏海?」

風間の言葉に全員が扉の方を見る
ぺこり、と頭を下げた夏海を見て全員が察した

これは、夏海の話をするための集まりだ、と

「それで、夏海がどうした?」

冬島が夏海の顔をみながら聞く
見たところ傷はない

「夏海、どうしたの?誰かに何か嫌なことでもされた?」

『………!』

夏海は慌てて首を横にふる
皆、私が嫌なことをされたと勘違いしているようだ

それも仕方がない
一年ほど前、夏海が聴覚障害のことで当時B級だった3人の男に虐められて、泣かされたことがあった
それ以降、皆夏海に対して、過保護になってしまったのだ

「心配するな。めでたい話だぞ」

『実は、好きな人が出来たんです』

「「「………ハアァァァ!!??」」」

「夏海に好きな人!?」

「嘘だろっ!?」

「誰だ!?」

「やっと、夏海にもそういう相手が出来たのね」


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