第35章 障害――――出水公平(中)
「そういえば、二人って何でこんなに仲良いんすか?」
ふと、疑問に思ったことを口にすると、二人は俺をみて固まった
と、思ったら二人同時に吹き出して大笑いした
「俺の弟子」
夏海の肩を引き寄せて自慢げに言う太刀川さんと、大きく頷く夏海
『太刀川さんはだらしないところもあるけど、これからもよろしくね。出水くん』
「おうっ!」
「だらしないって言うなよ夏海ー」
『本当のことですー』
「よしっ!今度斬りまくってやるからな」
『望むところです』
アタッカー同士の二人を少し羨ましいと感じる
俺もアタッカーだったら夏海といる時間も少しは長かったのに……
そこまで考えて、我に返った
どうして自分はこんなことを考えているのか、と
しかし、その答えはあっさりと見つかった
俺は―――夏海が好きだ
自覚したことで、更に太刀川が羨ましい
「夏海、連絡先交換しようぜ」
あまりに突然なことで夏海は目を見開いていたが、言われたことを理解できたのか、鞄の中からスマホを取り出した
「サンキュ。何かあったら連絡する」
うん、と頷いた夏海は用があるらしく、小走りで帰っていった
ポケットの中にあるスマホを思わず握りしめる
すると、太刀川が肩を組んできた
「おまえってさー」
その声がやけに弾んでいて、自然と身構える
「夏海のこと好きだろ?」
「……………」
「図星かー。青春だなー」
「太刀川さんはどうなんすか?師弟関係から恋人同士になるってこともあるんじゃないですか?」
「俺か?俺はあいつのことは妹だと思ってるからな。恋愛対象には入ってない」
「へぇ」
と、言いながらも内心、ほっとしてる自分がいる
「あ、でも、気を付けろよ」
「?」
「夏海は忍田さん、東さん、冬島さん…………あと、まぁ、成人隊員から妹みたいに思われてるからな。
もし、変なことしたら、殺されるかも知んねーぞ」
「……は……?」
まてまてまてまて
「何で、そんなに可愛がられてるんですか?」
「夏海って高校いってないからな。俺以外の成人隊員が交代で勉強教えてんだよ」
「………マジっすか……」
「まー、頑張れ」
へらり、と笑い俺の肩を叩いた太刀川さんを睨んだ