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ワールドトリガー【中・短編集】

第35章 障害――――出水公平(中)


『なら、仕方がないですね。課題、しなくてもいいですよ』

「マジ!?」

目の前の太刀川さんは目を輝かせる
出水くんは何をいってるんだという風に私を見ている

『忍田さんにもらった大福。私と出水くんで食べますから』

「なにっ!?大福だと?」

身を乗り出して聞いてくる太刀川さんの顔の前に大福が入った箱を突きつける
太刀川さんはその箱に手を伸ばすが、私は太刀川さんの手が箱に触れる前に遠ざけた

『ほしいなら、3時間以内に課題すべてを終わらせてください』

「………わ、わかった………」

渋々といった感じで頷き、レポートと向き合った太刀川さん
それを見た出水くんは目を見開いた

「夏海、すげーな。太刀川さんの扱いうまい」

『そんなことないよ。忍田さんに比べたら私なんてまだまだ………』

「俺も頑張らねーと」

何故か気合いが入ってる出水くんをみて笑ってしまった
すると、出水くんの顔が赤くなった

『大丈夫?顔赤いよ?暑い?』

「いやいやいやいや!大丈夫!」

出水くんは両手と首を必死に横にふる
少し心配だったが、本人が大丈夫だというなら大丈夫なのだろう



そして、太刀川さんは本当に3時間以内にすべてを片付け、早速大福に手を伸ばした

「あー、うめー!」

私と出水くんも大福を手に取る

「あ、確かにうまい。さすが忍田さん。いいとこのだな、これ」

大福を手に持っているため字が書けない私はこくこく、と頷いた

(……あーやべ………かわいい………)

大福を口に含みながら頷く夏海をみて出水は顔を赤らめた

太刀川はそんな出水の様子は気にせず、二つ目を手に取る
夏海が出水の顔を覗き込んだ

『本当に大丈夫?』

遠慮がちにノートを見せてくる夏海の頭を撫でる

「大丈夫だ。わりーな。何回も心配させちまって」

ううん、と首を横にふる夏海はよかった、と笑顔になった
それをみて顔は赤くならなかったものの、鼓動が速くなる

「お、俺も2個目貰っていいか?」

それを隠すために話題を変えた
夏海は笑って頷くと自分も二つ目を手に取った




「夏海、忍田さんにちゃんとやってたって伝えといてくれよ」

『大福を出したら頑張ってましたって伝えておきます』

楽しそうに笑う夏海の頭を太刀川さんが撫でる
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