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ワールドトリガー【中・短編集】

第28章 ちょっと休憩3


「いいぞ。じゃあ、作戦室行くか」

『うんっ!』

風間さんと別れて二人並んで歩く

「お前は偉いよな。ちゃんと頭下げて」

『そんなことないよ。私はお兄ちゃんの妹だからって適当にお願いするのは違うと思うから』

「そういうところが偉いよ」

ケラケラ、と笑うお兄ちゃんは今この瞬間だけを見ているとアタッカー1位とは思えない

どうしたらあんなに強くなれるのだろうか……

立ち止まった私を不思議そうに見るお兄ちゃんをじっ、と見つめる

癖の強い髪
格子状の瞳
適度に蓄えたあごひげ

一見、普通の人間に見えるが、そうじゃない
命を懸けて戦ってきたお兄ちゃんには独特のオーラみたいなものがある
それはお兄ちゃんだけじゃない
ボーダー隊員は一般人とは違う
もちろん、私にもあると思う

だが、お兄ちゃんは何かが違う

何が違うのか………

「なーに、難しい顔してんだ?」

『………何が違うの………?』

「………は?」

夏海はブツブツと何かを呟いていて、兄の言葉が耳に入ってこない

『……髪……は……確かにあまり強くない方だし……。
……でも目は………同じ格子状………。
……あ、でも……あごひげはないか……』

「………夏海?」

『……性別……?でも、トリオン体にそれはあまり関係ないし……。………元々の才能……?』

俺は夏海の目を見てぎょっとした
今までに見たことのない暗い目をしていた

俺は慌てて夏海の肩を掴んだ

「おい、夏海。何言ってるんだ」

夏海は顔をあげるといつもの夏海に戻っている

『………え?あ、ごめん。考え事―――』

「――夏海。お前と俺を比べるな」

しかし、そう言うと夏海の目がまた曇った

『………!?……それってどういうこと?』

やっぱりか……
最近、夏海とランク戦をしているとき、違和感を感じ始めていた
そして、その違和感は日に日に増していく
勝つことに今まで以上にこだわっている気がしてならなかった
そして、その考えは間違ってはいなかった

「………俺とおまえじゃ経験値が違う。……夏海が今すぐ俺に勝つことなんてできない」

『……わ、わかってる………けど……』

夏海の目は段々と潤んできた


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