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ワールドトリガー【中・短編集】

第28章 ちょっと休憩3


《太刀川ベイルアウト》

ベットにどさっ、と体が沈む感覚を感じながら目を閉じる

「《強くなったな夏海》」

機械を通じて風間さんの声が聞こえる
私はついさっきまで風間さんとランク戦をしていたのだ

戦績は6対4

もちろん私の敗けである

目を開いて、パソコンの前の椅子に腰を下ろした

『ありがとうございます、風間さん』

そのあと、簡単な反省会をしてブースを出た

『あっ、お兄ちゃん!』

ソファに座って、私を見ているお兄ちゃんに駆け寄る

「お疲れ、夏海強くなったな」

お兄ちゃんの大きな手で頭を撫でられる

憧れでもあり、尊敬しているお兄ちゃんに認めてもらえた私は頬が緩むのを抑えられない

『……えへへ……』

「風間さんから4本とるまでになるとはな」

「ギリギリだった。最近太刀川の戦い方に似てきているような気がするんだが………」

『お兄ちゃんの動きをイメージして戦ってるんです。
完璧にとはいかないけど、お兄ちゃんを見てきたからお兄ちゃんの動きをイメージしたら戦いやすくて』

「なるほどな」

「けど、いつまでも俺の動きを真似してるだけじゃダメだぞ」

少し強めに言われたが、もっともなことなので頷く

『うん。お兄ちゃんを真似てるだけじゃお兄ちゃんには勝てないからね』

「……よし!やるか!」

お兄ちゃんはそう言って勢いよく立ち上がると私の手をとって歩いていく

『………え!?』

「夏海、頑張れよ」

『………は、はい!』

風間に激励の言葉をもらい大きく返事をした
そのままお互い準備をする

風間さんに勝てなかった私がお兄ちゃんに勝てる筈がなく結果は7対3


私がお兄ちゃんに追い付くのはまだまだ先のようであるが、確実に強くなっていることは実感している

けど………まだまだ足りない


『お兄ちゃん!久しぶりに剣術教えてください!』

ブースから欠伸をしながら出てきたお兄ちゃんの前で頭を下げる

お兄ちゃんはアタッカーランク1位で普通なら教えてもらいたくても、言いにくい人もいるだろう
だけど、私は妹だからお願いしたら、お兄ちゃんは快く見てくれる
だからと言って、適当にお願いする、というのはいけないと思う
だから、私は毎回お兄ちゃんに頭を下げてお願いする


そんな私をお兄ちゃんはいつも頭を撫でてくれる



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