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ワールドトリガー【中・短編集】

第27章 特別――――菊地原士郎


『そういえば、私が今日来たのは』

「ランク戦?」

『それもいいんだけどね。菊地原くんって隊に入る予定とかある?どこかに誘われてるとか』

「ないよ。っていうか、こんなショボい能力要らないでしょ」

『またそう言うー』

朝霧は菊地原の頬を横に引っ張る

「やめへよ、はなひて」

『二度と、ショボいなんて言えないようになるよ』

「?どういうこと?」

『それは、おたのしみ!』

朝霧は僕の唇に人差し指を当ててニコ、と笑った
その時、心臓がドクン、と音をたてた

『じゃあ、またね』

朝霧は手を振ってブースを出ていった
その後ろ姿を見送って僕はしばらくそこに呆然と立ち尽くしていた



菊地原と会った次の日、夏海はある人物の元へと向かった

『風間さん!』

「夏海か。どうした?」

風間さんは後ろから声をかけた私を振り返る

『風間さんが気になってた子。どこにも声掛けられてないみたいですよ?』

そう言うと風間さんは目を見開いた

「……全く……余計なことをするな……」

『ふふっ、すみません』

「なんだ、機嫌がいいな」

『私、菊地原くんのこと好きになっちゃったみたいです』

「…………!………そうか」

風間さんはフッ、と笑うと私の頭に手をおいた

「……ところで、俺の隊に入る気にはなったか?」

『私はどこの隊にも入らないんです!』

「……わかっている。聞いてみただけだ」

『………宇佐美先輩と歌川くんは決まってるんですよね?あとは菊地原くんかぁ』

「夏海が気に入ってるようだからな。俺も楽しみだ」

『いい子ですよ!すごく!』

私は風間さんに早く菊地原くんと会ってほしい気持ちで胸が一杯だった


菊地原くんと会うために風間さんがブースにいくと言うので、宇佐美先輩と一緒についていく

「菊地原は今日はブースにいるのか?」

『早くB級に上がりたそうだったし、いると思いますよ』


ブースにつくと、まず寄ってきたのは歌川くん
彼はB級に上がったら、風間隊に入ることは決まっている

「おおっ、うってぃー」

独特な愛称で歌川くんを呼ぶ宇佐美先輩はあ、と声をあげた

「あそこ」

宇佐美先輩が指を指したほうを見ると、菊地原くんが一人で座っていた
風間さんはすたすたと歩いていく


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