第27章 特別――――菊地原士郎
「「耳がいい」って地味すぎるだろ」
「サイドエフェクトっていっても大したことないな」
ボーダーにはいって散々影で言われてきた
別に自分でもそう思ってるし、言われるまで気づかなかったから気にしてなかった
しかし、その日はそこで足が止まった
『ならさ、その大したサイドエフェクトを持ってないあんたたちはどうなのよ』
驚いてブースの下を見ると陰口を言っていた二人のB級の前で一人の女が立っていた
隊服を着ているため、C級でないことは確かだ
「なんだよお前っ!」
『お前じゃない。朝霧夏海って名前がある』
「朝霧!?あの朝霧か!?」
「風間さんのお気に入りの!?」
『何を二人で慌ててるのか知らないけど、人の悪口言うならその人のとこで言ってきなよ』
朝霧と呼ばれた人は僕の陰口を言っていた二人を睨んだ
二人はそそくさとその場所を去っていった
それを見届けて朝霧は僕を見た
『降りてきたら?菊地原くん』
「!………僕の名前……」
この女が僕の名前を知っていることに驚きながらも、柵を飛び越えて下に降りる
『そりゃあ、知ってるよ。今日は君に会うために来たんだもん。
私、朝霧夏海、14歳。よろしく!』
「………菊地原士郎、14歳。よろしく」
差し出された手を見ていると無理矢理握手させられた
僕たちは少し場所を移動して椅子に腰かけた
『それにしてもいいよなぁー。サイドエフェクト』
「こんなショボい能力がいいわけ?」
『だから!さっきもいったけど、それ言っちゃったらそのショボいサイドエフェクトがない私はどうなるのよ?あ、もしかして嫌味?』
「いやいや、違うけど、本当にこんなショボい能力……」
『私はまずショボいなんて思わないな~』
「……!どうして?」
『だって、サイドエフェクトって、トリオンがスゴかったりして持てるものなんでしょ?それに耳がいいって羨ましいよ!
私なんて中学校のおじいちゃん先生の言葉が聞き取りにくくてしょうがないのに……』
「………プッ………何それ……」
『あー!今笑った!馬鹿にしたでしょ!?』
「……してないよ」