第27章 特別――――菊地原士郎
「おまえ、「強化聴覚」のサイドエフェクトを持っているらしいな」
「……誰?おまえ………チビのくせにえらそうに………」
風間さんは後ろから見てもイラつきを見せたのがわかった
「風間蒼也。19歳だ。はじめまして」
「じゅ、………19歳………!?」
菊地原くんの頬をぶにーっとつかんだ
『ぶっ!あはははっ!』
「夏海笑いすぎだ」
「朝霧……!」
二人に歩み寄ると風間さんに睨まれたが、笑いが収まりそうにない
「………僕のサイドエフェクトなんて地味で大したことない。役に立たないよ」
『……あー、また言った』
じろり、と見ると菊地原くんはバツが悪そうに目をそらした
「それは俺が決めることだ。宇佐美」
「あいあいさー。
きくっちーのサイドエフェクトは耳ってとこがいいんだよね。聴覚情報は――」
『始まった』
「宇佐美先輩。話を進めてください」
風間さんは菊地原くんに聴覚情報について説明する
「正隊員になったら俺の作るチームに来い。おまえの力が必要だ」
その後、菊地原くん、歌川くんは正隊員になり、驚異的なスピードでランク戦を勝ち上がると、あっという間にA級に認定された
『皆!おめでとうございます!』
「夏海か、会うのは久しぶりだな」
『あっ、風間さん。寂しかったですか?』
「ああ、まあな」
フッ、と笑う風間さんはポン、と私の頭に手をのせた
「お前が風間隊に入ってくれれば、寂しくなくなるんだか?」
『それは聞けないお願いです』
「なかいいですね、あの二人」
「夏海ちゃんは風間さんが初めて戦った相手らしくて、それから風間さんが指導してたみたいだよ」
「……ふぅん……」
何か面白くない……
仲良く話す二人を見てそう思った菊地原は夏海の手を握った
『え///!?菊地原くん///!?』
途端に顔が真っ赤に染まり慌てる夏海の額にキスを落とす
「朝霧は僕のものだから」
『え!?菊地原くん///!?』
「だから!僕にとって朝霧は特別だってこと!ちゃんと理解してよね」
『………っ///!』
「おい、おまえたち。俺たちがいることを忘れるな」
『!!』
風間たちの前だったことを思い出した夏海はさらに顔を赤く染めた