第22章 夏といえば――18歳たち
―――――――――お化け屋敷
『やだやだっ!かえるっ!』
影「お化け苦手とか案外可愛いとこあんじゃねーか」
当「おもしれー!」
二人はゲラゲラと笑うが夏海はそれに反応できるほど心に余裕はない
『ほんっとにやだ!かえりたい!!』
北「ここまで来たんだから行くしかないよ」
荒「諦めるんだな」
穂「無理だな。今からなにもしないで帰るのは」
『やーだー!』
必死に抵抗するが高校生、しかも全員男に囲まれて逃げ道を塞がれては逃げることはできない
『……澄晴ぅ………』
前を歩いている犬飼の袖を引っ張って可愛らしくいった夏海だったが犬飼はそれを見ると大笑いした
犬「あはははは!!夏海がそこまでするなんて相当だ!これは、尚更行きたくなってきた」
当「ってことだ、夏海。諦めろ」
影「次俺たちの番だぜ」
ガタガタガタッ
夏海は一番近くにいた影浦の裾を握りしめた
影「大丈夫だ。何かあったら俺が守ってやるよ」
当「カゲ男前~!」
影「うっせー」
荒「入るぞ」
そしていよいよ中へと足を踏み入れた
夏海はぴったりと影浦に引っ付いている
すると、夏海の足を誰かが掴んだ
『きゃぁぁっ!』
犬「真っ暗だな~」
村「夏海大丈夫か?」
北「なるべく早く出ようか」
『………ま、雅人………』
影「どした?」
『……離れないでね……?』
影「………!……ああ、離れねぇよ」
そういわれたのも束の間、目の前に髪の長い女の人が立ちふさがる
『……っ………!!!』
もうすでに声が出せないほど私は怖かった
雅人にしがみつきやっとの思いで足を進めると光が見えてきた
勇達はすでに外に出ているようだ
影「もうすぐだぞ」
コクコクと頷くと、雅人が私の頭を撫でた
二人で外に出ると勇が振り返った
当「遅かったな」
影「お前らがはえーんだよ」
『……っはぁ………』
私は地面に座り込んでしまった
尋と鋼が心配して背中をさすってくれた
北「大丈夫?」
村「気分悪くないか?」
『……ん………大丈夫……』
荒「夏海マジでお化け屋敷無理なんだな」
犬「意外だよねー、苦手なものとか無さそうなのに」
『もう………二度と行かない』