第21章 酔い潰れ――成人たち
諏訪version
「俺が連れて帰るわ」
「諏訪さん襲っちゃダメっすよ?」
「わかってるっつの!誰が襲うかバカ!!」
…………とは言ったものの隣をぴったりとくっついて歩く夏海はいつもと違っていて理性を保つのが意外と難しかった
『…………諏訪さぁん………優しいんだねぇ……』
「今さら俺のカッコ良さに気づいたか?」
『うんうん、案外かっこいい』
「おい、案外って何だこら」
えへへ、と笑う夏海はまるで子供のようだ
ため息をつくと夏海が顔を覗き込んできた
『…………すわさん………?』
「………っ!」
あまりの顔を近さに慌てて顔を逸らす
「………何でもねぇ、さっさと帰るぞ」
『………は~い……』
二人でよろよろと夏海の家になんとかついて玄関先で帰ろうとすると、夏海に腕を捕まれた
『……あの…………すわ………さん…………。…わ、私…………すわさんのこと…………』
「――――ほら、夏海さっさとなかに入んねぇと風邪引くぞ」
夏海の言葉を遮って夏海に背を向けるとドンッと抱きつかれた
『諏訪さんが好き!酔ってるからとかじゃなくて……………ちゃんと………好きだもんっ……』
(…………もんって可愛すぎだろ………!!)
「わかったから、離せ」
素直に拘束を解いて俯いた夏海を見ると耳が赤かった
「俺も好きだぜ。夏海」
『!!』
俺は夏海の頭に手を置いて言うと、真っ赤な顔をあげて嬉しそうに笑った
「じゃあな、夏海」
『………帰っちゃうの………?』
「…………っ!?///
帰るっ!!」
夏海の潤んだ目を見て俺の顔も赤くなったが、顔を逸らしてその場から逃げた
『…………諏訪さん意外とちゃんとしてるんだ………』
あのまま夏海の家に入っていたら夏海に手を出していただろう
夏海は玄関の扉を閉めて布団に潜ると思わずにやけてしまった
諏訪の優しさが嬉しかった