第21章 酔い潰れ――成人たち
木崎version
「俺が送っていきます。家もたぶん俺が一番近い」
「そうだな。頼む」
『………やったぁ………レイジさんと帰れる……!』
フラフラとした足取りながらもしっかりと俺の後ろをついてくる夏海の腕を支えて歩き始めた
「どうした?眠いか?」
夏海の首がカクカクと前に倒れているのに気がついて声をかけるとふるふると首を横にふった
「無理するな。大分飲んだだろう」
俺は夏海に背中を向けると夏海は意味がわかったのか眠たかっただけなのかすぐに体を背中に預けた
『…………レイジさんの背中………暖かい……』
そう言うと頬を擦り寄せてくる
「…………寝てていいぞ」
『…………う…………ん………』
夏海の家につく頃にはすでに夏海は少し揺すっても起きないぐらい爆睡していた
だが、ベットに寝かせて支部に帰ろうとしたとき夏海が俺の服をつかんで離さなかった
驚いて夏海の顔を見ると夏海はうっすらと目を開けていた
『………行か………ないで………レイジさん……』
その瞬間心臓がドクンと早鐘をうつ
「いってる意味わかってるのか?」
なんとか自分を押さえて聞くと夏海はコク、と頷いた
だが、その目は半分閉じている
俺はため息をついて夏海にキスを落とした
「好きだ、夏海。返事は明日聞くからもう寝ろ」
そう言って強引に布団で夏海の顔を隠すと夏海の家から出た
布団を被された夏海は先程のキスですっかり目が覚めていた
布団のなかで一人顔を赤くして悶えていた
返事なんて明日にならずとも決まっている
夏海はそれからしばらく寝付けなかった
支部に戻ったレイジもなかなか眠れなかったのは言うまでもないだろう