【最俺&アブ】実況に手を出したら大変パニックなことになった。
第1章 ゲーム実況絵師
「はろはろー。ぴょこ太です。みなさんこんばんわー。」
深夜2時。
いつもどおりのニコ生。
<わこつー>
<あれ?ぴょこ太ちょっと元気ない?>
「あれ、わかっちゃいました?実はペンタブ壊れちゃって。」
兄の顔面に投げつけたら壊れた、とは言えない。
<えええええ>
<ぴょこ太のことだから力みすぎてヘシ折ったんじゃ…>
「どんな握力だよ!!!」
<wwwwww>
<でも、お絵描き枠できないね>
<雑談枠でもいいよぴょこ太の声が聞けるなら>
嬉しいことを言ってくれるじゃないか。
「そうだね、今日はまったり雑談枠でもいこうかー。」
<ぴょこ太はトークも面白いしね>
<めっちゃ喋るもんね>
<話途切れないよねwww>
<トークスキル的に実況のアブさんに似てるよね>
ギク。
「や、やだなあ、あんなにマシンガントークじゃないよー」
嘘だろ、あんなのに似てるのかよ。
いや確かによく喋るわ。兄妹揃ってめっちゃ喋るわ。
<実況といえばぴょこ太はゲームとかしないの?>
<ぴょこ太のゲーム実況みたい!>
<ゲーム枠クルー?>
ゲーム枠、か…。
確かに興味はあったんだよな。
「ゲームねえ、好きだけど実況はやったことなかったね。
ちょっとやってみよっか!何かフリゲー探そ!」
<おおおおおおおおお>
<よっしゃあああああ>
<wktk!>
いつもよりも謎の盛り上がりだ。みんなゲームが好きらしい。
フリーゲームのサイトを巡り、私はひとつのゲームに目をつけた。
探索型の脱出ゲームだ。
この手のタイプはホラーが多いけど、私はホラーが苦手なので絶対やらない。
私の視聴者のことだ、私がホラー苦手とか言うと面白がって無理やりやらせようとするに違いないので
なんとか隠し通さなければならぬのだ!!
なのに
「おおおおおおいどこにもホラー要素入ってるなんて書いてなかったじゃああああああん!!!」
気づけばゲーム内の私は髪の黒い女に追いかけられていた。
<wwwwwww>
<くっそwwww>
<ぴょこ太のホラゲ実況超面白いwww>
「楽しんでくれて何よりです!!ちくしょう!!」
こうなったらヤケだ。
いつもより盛り上がるコメントを横目に
私は半泣きで3時間、ゲームを続けた。