第7章 悪魔の忘れ物
「…これかな」
壁の高い位置に取り付けられた戸棚に飾られた観葉植物。
それに隠すように置かれていたのが、見るからに高性能な小型カメラ。
そしてその横には、見慣れない機械。
おそらくこれが盗聴器だろう。
一通り部屋を片付け、静寂の戻った室内にコーヒーの香りを漂わせる。
この香り…落ち着く。
「夏海はブラックで飲めていーよな」
「え…」
今、あいつの声がした?
なんで?
いるはずがないのに。
この部屋にも、この列車にも、
あいつは、今、私とは正反対のところにいるはずなのに…。
どうして?