第7章 悪魔の忘れ物
「では…」
吉野さんは、抵抗する結城くんを引きずって部屋を出た。
残された根津さんは、がっくりと床に項垂れる。
「…また、やってしまった」
どんよりと肩を落とす姿は、まぎれもなく彼の元・本性。
「すみません…」
「い、いえ…」
鬼のように荒ぶっていた人とは思えない口調で、後味が悪そうに部屋を後にした。
ひとりぽつんとした部屋で、私は大きくため息を吐く。
その息は長く続いて、今になって鼓動が大きくなった。
「何してたんだろ…私」
自分の胸に手を当てる。
「ばか…」
刺激を求めた胸が、まだツンと張っているのが分かった。