第1章 傷心旅行
「あ、名前言ってなかったっすね。俺、新太っす!結城新太!」
「どうも…」
「お姉さんは何ていうんすか?」
今さっき初対面を果たしたばかりの、この少しチャラチャラしたというか、女慣れした男に名前を教えなきゃいけないの?
「予想はー、夏海ちゃんとか‼︎」
「え、うん、」
なぜか青年はいとも簡単に名前を言い当ててしまう。
見かけからしたら一切関わりのないタイプだ。
どこか遠い親戚でもない限り、一生関わらずにいたい典型的な例。
髪の毛は金髪に染められて、ピアスなんかも結構ハデ。
それにモデル体型が邪魔をして、うっすら外国人にも見える。