第1章 春
次の日も、その次の日も…結局、入学式から3週間毎日、岡田さん…帰りに声をかけてきた子…に何度もかけられた。
『ねえ、今日も渋谷先輩と会うの?私も混ぜてよ?ねぇ?』
正直言うと、だんだん『…ウザイ…相手にしたくない…』って思ってきてしまったので、『ごめん、用事があるから。』とだけいって立ち去ろうとしたら…
『あー、やっぱりあの噂、本当なんだ』
と、意味ありげにニヤッと笑われた。
『噂?』
『えー?みんな言ってるよ~?めーちゃんと渋谷先輩が付き合ってるって!だから、紹介してくれないんだって…』
『…はぁ?』
…そうなっちゃいますか…てか、そっち?
…違う、違う、違う!
すばる君とは、何もない!
てか、あの7人とは有り得ない!
『違うんだったら、私に渋谷先輩を紹介してよ!そうしたら、うちの兄貴をめーちゃんに紹介してあげてもいいけど?』
『兄貴?』
『うちの兄貴、岡田准一。この学校の生徒会長。』
そういえば、昇降口の事件の時に助けてくれた先輩、すばる君たちが『岡田先輩』ってよんでた気がする…
…うそ?
この人のお兄さんが、あの昇降口の王子様…?
そうだとしたら、あの人と…憧れの岡田先輩と付き合える…
…すばる君に岡田さんを紹介しちゃおうか…
一瞬そう思ったけど…
…でも…すばる君の事を思ったら…もし、私が勝手に岡田さんをすばる君に紹介しちゃったら…すばる君は…
…
『岡田さん、ごめん、渋谷先輩の事が本当に好きなら、直接渋谷先輩に言って。私が勝手に岡田さんを渋谷先輩に紹介するとか出来ないよ。』
『…はぁ?あんた、何様のつもり?』
私が断った瞬間、岡田さんの態度が豹変した。
『あんたに断る権限なんてないの!私は渋谷先輩の事がずっと好きだったの!つべこべ言ってないで、さっさと紹介しなさいよ!』
岡田さんが詰めよってくる…
…あぁ、どうしよう…
…と