第1章 及川過去
ちっちゃい時、近所でよく岩ちゃんと3人で遊んでいた
彼女は俺のことを弟だと言ってよく面倒を見てくれた。
『とーる君!ちゃんと私の傍に居てね、離れちゃやだよ』
笑顔で手を引く彼女にいつしか好意を抱いていた
その子の名前は
とても優しく、俺を守ってくれる小さな背中はいつでも俺の心を奪っていった。
岩ちゃんに相談しても
”なにそれ”
と言われ流された。
恋なんて知らない年代だったし、その答えが来るのは当たり前
俺もそれが恋だと知ったのは、小学生にあがって4年生の時だった
一緒に居る時間が俺にとって特別なものだった
だが別れは突然だった
岩ちゃんから
”が学校に来ない”
そう聞き俺の心はギュッと締め付けられた
心配で家に行けば家から両親が出てきた。
小さなダンボールを車に詰めているのを見て胸騒ぎがした
「あら、徹ちゃんどうしたの?そんなに慌てて」
の両親は不思議そうに俺に問いかけてきた
「は?」
その言葉に母親は驚き申し訳なさそうな表情になっていた
「徹ちゃんには言ってると思ったのに言ってなかったんだ、ごめんね、は昨日から海外の小学校に転校になったの」
その言葉に頭が真っ白になった
海外?なにそれ日本じゃないの?
何で言ってくれなかったんだろう、言ってほしかった
気持ちだって伝えてない、どうして
グッと手に力が入るとの両親に背を向け走って逃げた