第3章 期間限定ドーナツ
机にへたばっていたら、本日何回目かの腹の虫が鳴いた。数えるのは途中でやめた。
「よーっす風華、生きてるー?」
『死にそうだから何かもらえると嬉しいな……』
二十分休み、ブン太不在の席に座ったみっちゃんが笑う。
遅刻ギリギリに家を飛び出し、朝食を取り損ねたまま朝練(といっても私はマネージャーだが)に参加したおかげで、既にグロッキー状態にあった。
三時間目は家庭科で空腹に追い打ちがかかること請け合いだし、更に四時間目には体育控えてると思うと死ねる。多分途中でぶっ倒れるんじゃなかろうか。
「丸井に何かもらえば? いつも大量にお菓子持ってるんだし」
とか言いつつ、彼女の手は見覚えのある緑色の箱をべりべりと開けている。プリッツのサラダ味だ。ちゃんとくれるあたりみっちゃんツンデレだね、と言ったら「べ、別にうちのクラスの紳士が体調心配してたから気になってとかじゃないんだからね!」とベタな返しをしてきたものだから笑ってしまった。